【特集】浦添市の教育(28.11)

公開日 2016年10月27日

最終更新日 2016年10月27日

教育特集
 

「子どもたちが自主的に考える能力」を育む

 写真は、宮城小学校で行われた公開授業の風景。算数の授業で、図形の面積を求める問題でした。しかし、正方形や長方形のような解りやすい図形ではなく、長方形が二つくっついたようなL字型の六角形。図形の応用問題で子どもたちは少し困惑した表情でした。先生はすぐに解き方を教えるのではなく、子どもたちに「難しい理由」を問いかけ、子どもたちが自力で答えにたどり着くよう思案させます。
 電子黒板が活用され、自分で考えた解き方以外の方法もスクリーンに映し出されました。様々な解き方があることに子どもたちは「このような解き方もあるんだ」と真剣な表情で授業に取り組んでいました。
 小さなことも先生が問いかけ、子どもたちは積極的に手を挙げ元気よく答えます。とても丁寧で活発な授業風景に、周りの先生たちも興味津々でした。
 子ども一人一人が成長する過程で教育に求められているのは主体的・創造的に考え、基礎的・基本的なことを身につけてもらい、自ら学び自ら考え行動するということ。これは、学校現場だけではなく家庭や地域と連携した取り組みが必要です。
 今月は、浦添市が取り組む教育と家庭における教育についてご紹介します。
 

1 示された学力向上

全国学力・学習状況調査のグラフ
 

浦添市の学力向上効果

 浦添市では授業内容、方法の質の向上を研究し、今までの「教える授業」から「生徒が主体的に考える授業」への転換を進めています。生徒に何が分からないのかを自覚してもらい、問題の本質を見極めて授業に取り組んでもらうという授業スタイルです。
 授業改善の他にも、ICT活用、学校教育支援員の活用、早期からの英語の授業など様々な取り組みを行ってきました。
 上記グラフで全国学力学習状況調査(小学生6年生対象)をスタート当初の平成19年度と平成28年度を全国平均と比較しました。沖縄県は当初どの教科においても全国最下位と課題の残る結果となっていました。
 浦添市では授業改善や機器の導入など様々な取り組みを行った結果、平成28年4月には沖縄県の平均ばかりでなく全国平均を上回りました。教育に力を入れ、様々な取り組みの相互効果により10年でここまで学力を向上させることができました。

学校教育課長浦添市における「授業づくりの転換」

学校教育課長 宮里 晋さん

 資質・能力を育成するためには、「何を学ぶのか」という、必要な指導内容を明確にし、その内容を「どのように学ぶのか」という、子どもたちの具体的な学びの姿を考えながら構成していく必要があります。文部科学省では、平成32年に小学校の学習指導要領を全面改訂する計画をしており、その方向性についても示されております。今後大きく変化していくことが予想される学習内容や学習方向について浦添市ではいち早く対応し、現在改訂への準備を進めているところです。その準備として、大きく2本の柱を立てています。
①子どもの主体的な学びを重視した授業スタイルへの転換。
②補習指導の取り組みの徹底。
 授業の質が良くなり、補習指導も充実していくように取り組んでいます。この二つの相乗効果で大きく学力が向上していくものだと考えています。
 また、中学校についても同じように、授業の質の向上と補習指導の徹底に取り組んでいるところです。
 中学校における学力・学習状況調査の結果は、小学校ほど大きな成果をまだ上げる事ができていませんが、日々先生達は工夫をしながら指導を進めています。
 今後、生徒の主体性を重視した授業に取り組み、持てる力を最大限に発揮して課題を解決していく学習を積み重ねていくことで、確実に良い結果につながるものだと考えています。

課題解決に向け、浦添市が取り組んでいる学習スタイル

 浦添市では、全国標準学力検査や研修会を通して、学校・児童生徒の実態を的確に把握し、児童生徒の理解および教科の個別指導等、基本的な学力を身につける指導方法の工夫・改善の研究を行っています。
 浦添市の子どもたちが十分習得できていない学習内容や、児童生徒の実態を指導者である先生方が知り、その課題を克服するために日々授業改善を全校体制で取り組んでいます。様々な取り組みを行っているなか、今回は「学校教育支援員の活用」と「AET授業による英語の早期着手」についてご紹介します。
 

学校教育支援員の活用

学習支援員による指導 平成24年度から配置が開始され、市内全小中学校に2人ずつ、学校教育支援員を配置しています。学習内容を理解するスピードに違いがあったり、学習に集中できない子がいる場合、子どもたちの学びを豊かなものにすることはとても困難です。そこで学校教育支援員が問題解決を困難としている子に寄り添い、学習に苦手意識がある子の学習意欲を促し、学習内容を理解させることを目的としています。放課後の補習指導においても学級担任と連携を図りながら学校教育支援員がつき、短い時間ではありますが苦手教科の課題克服に向け、繰り返し指導を行います。

英語をもっと身近に

AETによる指導 外国語(英語)教育の導入を浦添市は積極的に行っています。小学5・6年生に導入された英語の授業を本市では平成16年度から全学年で行っています。英語を身近に感じてもらい、これからのグローバル社会において、学んだことを活用することを目的としています。平成32年には「小学校中学年から活動型(週に1コマ程度)」、「小学校高学年から教科型(週2コマ程度)」とされる予定です。学級担任が授業づくりをリードし、専門的な部分(発音等)は各学校に配置されたAET(英語指導助手)が行いながら英語授業の充実を目指しています。
 

 

ICT授業の様子
 

2 ICT機器の活用

 情報の急速な普及が進む現在、子どもたちにも情報活用能力を身に付けさせる必然性が求められてきています。そこで注目されているのが、電子黒板やタブレットPCを活用した「ICT」授業。今までの教科書やノート、黒板のみの授業より効果的で、子どもたちにとってわかりやすい授業が行われることが期待されます。
 市内小中学校では、算数・数学の「数量関係」や、国語の「表現力」に課題が見られ、ICT機器の導入により今後の活用による成果が見込まれます。
 

浦添市は3校から実施

 浦添市では、浦添小学校・宮城小学校・港川中学校をモデル校として、ICT機器を活用した授業を実践しており、随時市内小中学校に広げて行く予定です。ICTを効果的に授業で活用し推進していくために、市内の13人の教師をICTエバンジェリストとして位置付け、エバンジェリストどうしで公開授業を行ったり、情報交換を行ったりしています。また校内では、ICT機器の活用方法を他学級に推進する活動もしています。
 

タブレットPCを活用した授業

ICT授業の様子

 浦添市ではタブレットPCを利用した授業を取り入れています。タブレットPCを利用することにより、子どもたちの学習への意欲が向上し、また浦添市が課題としている一つである算数の比例などの「数量関係」を効果的に学ぶことができます。
 例えば、比例の変化の割合をタブレットPC から電子黒板にデータを飛ばし、画像の動きで視覚的に学ぶことができます。また算数のみならず国語の文章を迅速に映し出すことで生徒に考える時間を多く与えることができ、どの教科においても効率的な授業の促進していくことが可能となりました。
 

ICTを利用するとどのような効果があるの?

●イメージしやすい、そして子ども達の自主性の育成
 算数については図形が動いたり、理科では実験動画が流れたりと子どもたちのイメージしやすい授業ができ、理解力を高め学力の向上が見込まれます。そして簡単なプレゼンテーションもタブレットを使って発表できます。

●授業が楽しい・苦手科目の克服
 電子黒板で見やすく、スムーズな授業ができるので子ども達も興味津々。一人一人にタブレット端末を使う授業では実際に触ったりして勉強できるので、とても楽しいという声をいっぱい聞きます。

●生活指導も啓発
 例えば、日ごろの学校生活で掃除がちゃんとされていない、トイレのスリッパが並べられていないなどの指導を、写真やライブカメラを使って現状を把握しながら反省もできます。

ICT授業で勉強が楽しくなりました!
水田 百香さん(11)

 算数はもともと好きでしたが、スクリーンに図形の展開のやり方などが分かりやすく出るようになり、さらに算数が好きになりました。eライブラリもやったことがあります。家でもiPadを利用して勉強することができるようになってとても勉強が楽しいです。
 理科があまり好きではなかったのですが、実験結果などを電子黒板に写しだされて、とても分かりやすくなって楽しくなりました。
 テストの点数も細かいミスが減って、いい結果につながっています。
 今後は授業でもっと多く、ICT活用した授業をやってもらいたいです。例えばグループ学習などを増やしてみんなで意見を出し合うのが楽しいので、そのような授業を受けてみたいなと思います。
 これからも、宿題をいつも通り毎日やって家庭学習にも今まで以上に取り組み、勉強を頑張っていきたいと思います。

宮城先生ICTを活用した授業 子どもの学習意欲の向上へ

宮城 安宏 先生(26)(宮城小学校)

 ICT を活用した授業は子どもたちの授業への積極的な意欲を感じます。とても楽しそうに課題解決に向け取り組んでいます。
 タブレットを使うことで、隣同士の生徒で解決に向け相談させることにより、友達とコミュニケーションを取りながら教え合う環境もできました。
 算数が苦手だった子も点数の伸びが見え、他の教科においても全体的に点数が伸びてきてはいますね。国語の漢字が苦手な子もスクリーンやタブレットで漢字の書き順を映し出し、なぞって覚えてとても意欲的です。
 私はICT授業のエバンジェリストの一人で、他の先生へ活用を勧めたりしています。実際、他の先生もICTを活用した授業導入をしたりしています。どのクラスでも子どもたちの評判はいいようで、利用したいと言う先生が増えています。
 今後も、ICTの活用方法を他のエバンジェリストの先生たちと意見交換をしていき効果的な授業になるよう努めます。


家庭学習の重要性
 

3 家庭学習の重要性

 家庭学習が、とても重要であるという事は子どもを持つ保護者であれば感じる事だと思います。家庭学習の重要性を一度整理しておきたいと思います。重要性を知ることで家庭学習でどのようなことをすべきなのかが見えてきます。
 

家庭学習が重要な理由は二つ

①授業の内容を補完するため
②授業に備えるため

 授業の内容を補完するというのは、学習した内容を確実に定着させるという事です。勉強を進めていく中で「できるようになる」「答えが出せる」ということはある程度できるかもしれませんが、確かな学力が身につくためには課題の本質をとらえ、解決へのプロセスを論理的に整理して理解する「分かる」ということを重視しなければなりません。そのためには必要な問題演習や分からない箇所を確認して復習する必要があり、学校の授業だけでは時間が限られ、毎日取り組めない事もあります。それを補っていくために家庭学習がとても重要となってきます。
 授業に備えるというのは、授業の内容を少しでも理解するために事前学習をするという事です。
 翌日の授業の内容を少しでも把握しておくことで授業の理解が深まり、意欲も高まります。この二つに取り組むためには、家庭での学習ができる環境を整える事が重要です。特に低学年は、親がそばについて家庭学習を助けてあげないと、習慣化は望めません。親の意識が子どもの学力に大きく影響しますので、ぜひ、子どものために時間を作ってあげてください。

家庭学習の心得

①学習内容の定着
 家庭で復習することにより、習熟・定着を図ることができ、「わかる」「できる」という自信になります。

②学ぶ習慣をつける
 毎日家庭学習を続けることにより、自ら進んで勉強する習慣が身につきます。また、当たり前の習慣にもなります。学習習慣は低学年のうちから同じ時間に同じ場所で取り組むことが大切です。

③がまん強さ・根気・集中力をつける
 家庭学習ではテレビやゲームなど様々な誘惑があります。この誘惑に打ち勝つことにより、がまん強さ、根気、集中力を養うことができます。そのためには、テレビを消す、みんなで読書をするといった家族全員の協力が必要です。

④家族のふれあい
 「本を読んでいる時、横で聞いてあげる」、「勉強が分からない時、教えたり調べたりしてあげる」など家庭学習をしている子どもに親が関わることによりコミュニケーションがはかれます。家族のふれあいの機会が増えることは、子どもの精神の安定につながり、心身も頭脳も健やかに育ちます。

子を持つ親の思い
勉強は子どもの自主性を尊重しながら、礼儀は厳しく
照屋 明都 さん(47)

 現在、3人の子どもがいます。私の家庭での教育方針は「自主性」です。長女は小学2年生で、習い事をしています。子どもがやりたいと言ったことで、何が自分が好きなのか視野を拡げてもらいたいです。
 私は子どもが家庭学習をする際に、分からない問題があった場合は教えてあげるようにしています。コミュニケーションを取る事で、信頼関係を築くことができます。そうすることにより、子どもから学校生活の状況も自然な会話の中で聞くことができ、相談があれば打ち解けて話しをすることができます。
 厳しくしていることは、礼儀ですね。「ただいま」と言ったら「おかえり」と挨拶はコミュニケーションの基本であり、とても大事だと思います。「おかえり」と返答がない場合は言うまで「ただいま」と何度も言い続けます。家庭によって様々な教育方針があると思います。私は学習面では子どものやりたいことを見つけて、伸ばしてやること。生活面では、他人に対しての礼儀や思いやる心を学んで健やかに育って欲しいです。

学校と家庭で教育する

 学校での学びは、将来子どもたちが社会人として生きていくための基礎となる大切なものです。学校での学びのみならず、学校と家庭が連携することにより学習内容がより確かに定着し、学力の向上につながります。また、会話を通してコミュニケーション能力を養うこともできます。
 浦添市では今後も子どもたちが意欲的に楽しく、学習しやすい環境づくりに努めていきますし、親子の絆が深まります。

 

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