商圏コラムVol.9 地域振興の担い手としての感性文化 (地域の魅力)

記事番号: 1-4542

公開日 1900年01月01日

 これまでの「健康ブーム」や「癒し・安らぎ」を求める傾向は、消費者のニーズが高度化あるいは多様化していることを示しています。内閣府の「国民生活に関する世論調査」でも、今後の生活において、「物の豊かさ」よりも「心の豊かさ」を求める人の割合が高い状況が続いています。人々の意識の中で、経済成長に伴って生活・教育水準の向上や余暇の増加などにより「モノ」だけでなく、「ココロ」の豊かさを求める方向へ重心がシフトしていることがわかります。今後は、沖縄への入域観光客(特に新興国エリアからのインバウンド需要)にも広く浸透し、定着してくることが予想されます。
このような状況を踏まえると、これからの持続的な地域発展に向けて、「ココロ」に響くような地域独自の「感性(芸術なども含む)」や「文化」などを経済発展の要素として考えていく必要があります。

 本県は、日本文化とは異なる独自の伝統文化を営み、亜熱帯気候という条件が、動植物の生育を促し、畜産、水産物の養殖、野菜、花卉、果実等の天然資源に恵まれた島国となっています。他方で、アジア諸国やASEAN諸国に近隣していることから、「JAPANブランド」をPRできる日本国内の一地域として地理的な優位性も有しています。ゆえに、地域独自の文化資源を地域産業の主要な担い手としてのポテンシャルを最大限に発揮させるための戦略が必要となってきます。

 本県における感性文化に関連する事業所数などをみると、全国に占めるウェイトこそ高くありませんが、リーディング産業である観光関連産業との親和性などを考えますと、既存の観光資源を高付加価値化させる基盤としてさまざまな可能性を有しています。例えば、「デザイン業」や「著述・芸術家業」、「写真業」などの感性文化に関する人材や業種が集積することで、クリエイティブな土壌が生まれ、各種施設や土産品などの財やサービスへ沖縄の独自性を付与(発案)する機会が増える可能性があります。浦添市内に目を向けると、「国立劇場おきなわ」、「浦添市美術館」、「浦添市てだこホール」などの施設、各種史跡などの文化的な資源が点在しており、感性文化に関するインフラが整備されていることがわかります。

 産業面で詳細に把握できる公式データはありませんが、総務省統計局の「経済センサス(2013年)」を用いることで、当該地域における事業所数や従業員数を把握することができ、さらに「特化係数(ここでは県全体の数値を基準とした場合の浦添市の相対的な水準を示す)」を用いることで当該地域での集積度合いについても把握できます。感性文化に関連するような業種を抽出すると、浦添市は県内全体に比べて「著述・芸術家業」や「写真業」のウェイトが相対的に低いものの、「デザイン業」や「興行や興行団」、「学術・文化団体」などの事業所では高くなっています。

  中長期的な視点から持続的な地域振興を考える場合、当該地域の特徴(産業構造など)や魅力を活かしたアプローチが必要となってきます。これからの人口減少社会や老齢化社会を見据えると、単なる産業誘致だけでは限界が生じる可能性があり、地域住民の視点に加えて交流人口などの観点も重要となってきます。今後、浦添市の魅力やポテンシャルを最大限に発揮できるような取組が求められています。

 


 


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