外来種とは、もともと生息していなかった生物が、他の地域から人為的に持ち込まれた生物のことです(外来種についてはこちら)。外来種が持ち込まれると、もともといた生物(在来種)に大きな影響を与え、様々な問題を引き起こします。
牧港川にも外来種が生息していますが、みなさんは外来種と思っていないような生きものもいるかもしれません。
シロアゴガエル Polypedates leucomystax 無尾目 アオガエル科
外来生物法の特定外来生物 日本の侵略的外来種ワースト100
淡水域のよどみに オタマジャクシがたくさんいました。
▲オタマジャクシに後ろ足が はえてきた状態
▲成体 シロアゴガエル
原産地はインドシナ半島とされています。現在県内各地に生息しています。沖縄島には、アメリカ軍の輸送貨物にまぎれて導入されたと考えられています。適応能力が高く、すぐに沖縄島全域に分布を拡大しました。
この種が高密度に生息するところでは、捕食により在来の(もともと沖縄にいた)昆虫などに影響を与えています。また、生息場所や繁殖場所を巡る競争によって、在来のカエル類を駆逐する可能性があり、在来のアオガエル類への影響が懸念されています。寄生虫の感染も危惧されます。
成体の大きさは雄で5cm、雌で7cm。体は全体に褐色ですが、上あごの周囲に白いふち取りがあるため、この名前がつきました。人工的な環境でも生息できます。低い木の上や地面の上で行動し、主に昆虫を食べます。単発的に「ギィ」とか「グィ」と鳴きます。
参考文献:「外来生物事典」東京書籍
チュウゴクスッポン Pelodiscus sinensis sinensis カメ目 スッポン科 広い範囲で、甲羅干ししている姿が 確認されました。
チュウゴクスッポン
原産地はロシア、中国、ベトナム、台湾など。もともと南西諸島には自然分布しませんが、現在は県内各地に生息します。戦後、食用のため主に台湾から移入されました。はじめは近くの川や養殖所で飼っていたものが、野生化したり逃げ出したりして定着したとされています。
甲らの大きさは20~25cm程度で大きくて35cmにもなります。河川の中・下流域や湖沼、池などにすみ、貝、昆虫、カエル、魚などを食べます。気が荒いので、咬まれるとケガをします。
参考文献:「外来生物事典」東京書籍、「日本の外来生物」財団法人自然環境研究センター
アメリカザリガニ Procambarus clarkii 十脚目 ザリガニ科
淡水域で1個体が確認されました。
原産地は北アメリカ南部とされています。日本へはウシガエルの餌として神奈川県に導入されたのが最初です。沖縄では1980年頃から確認されています。
場所によっては、川などにすむ小さい動物を攻撃したり、水草を食べたり、それによって多くの種に間接的な被害を及ぼし、魚などを減らすなどの問題も生じています。
比較的温暖な湿地に生息する。体長は12cmくらい。派手な色のかたい体と大きなはさみが特徴的。水田、河川、湖沼などの浅いところにすみ、水草、昆虫、動物の死体などを食べます。水質汚染や高水温に強い種です。
参考文献:「外来生物事典」東京書籍、「沖縄の帰化動物」沖縄出版、 「日本の外来生物」財団法人自然環境研究センター
アメリカフジツボ Balanus improvisus 無柄目 フジツボ科
河口部で多数確認されました。 護岸や石に付着しているのが みられました。
アメリカフジツボ
原産地はアメリカ北部から南アメリカ北岸とされています。現在北海道を除き日本全域に生息しています。船底にくっついたり、船のバラスト水(*)に入って運ばれてきたと考えられます。
河口域に生息しています。この種はほぼ一年中、繁殖ができるので、在来の種よりも早く増えます。 発電所や工場の冷却水系統内に侵入して冷却効率の低下をもたらしていて、除去には操業の停止や多額の費用がかかります。
フジツボ類は節足動物門に分類され、エビやカニの仲間なんです。
参考文献:日本生態学会,2002.外来種ハンドブック.地人書館,東京,390pp.、多紀保彦,2008.日本の外来生物.財団法人自然環境研究センター.
*バラスト水:船に重い荷物を積まずに出航するとき、重しとして荷物の代わりに船底に積む水のこと。荷物を下ろした港で水を取り、荷物を積む港で捨てる。
こんな外来種もいました。
ミシシッピアカミミガメは、広い範囲で甲羅干しをしている姿がみられました。カワスズメは、ほぼ全域にたくさんいました。トウガタカワニナは、感潮域の岩の上などにたくさんいました。
ミシシッピアカミミガメ